頭痛外来に行ったらどんな検査を受けるの?時間は?

頭痛の神経学的診察法を規則通りにきちんと行ないますと、かなり時間がかかります。

まともな所にいけば一時間はかかるのが普通ですね。

ていねいに確認し、疑問がある場合には何回もくり返してテストをすれば、一人につき一時間も、あるいはそれ以上もかかります。

″三時間待って三分間の診療″といわれている今日の状況下では、神経学的診察法のごく簡略化したものでも、なかなか思うようにできない有様です。

しかし、そうかといって診察もしないで、何でもありません、というわけにはいかないのです。

私どもはかなり忙しいときでもひと通りの検査を行なっています。

まず、これだけの検査をして異常がなければ、頭蓋内に脳腫瘍、髄膜炎、クモ膜下出血などの病気はないといえるだけのことはしなければならないわけです。

では、私どもの頭痛患者の診察法についてお話しましょう

普通は神経学的診察の前に一般内科的診察をまず行ないます。

脈をとり、血圧を測り、呼吸の状態や顔つきを観察し、皮膚に発疹その他の異常があるかどうかを調べます。

貧血や黄疸の有無をみ、頚部のリンパ腺や甲状腺の触診、胸部・腹部の打聴診、触診が主な検査になります。

これで全く異常がなければ、肩や首すじを圧迫してみて、その硬さを検査すると同時に、圧迫すると痛いかどうかを確かめるのです。

肩や首すじが硬くこっており、押して痛いという場合は、たいてい筋収縮性頭痛です。

特に五年も十年も前からの頭痛持ちという場合にはまず間違いありません。

しかし、頭痛持ちの人が髄膜炎になったり、クモ膜下出血を起こしたり、あるいは脳腫瘍になったりすることもないわけではありません。

こういう重篤な病気を起こしているかどうかを調べるためには、脳圧九進症状と髄膜刺激症状、さらに脳病巣症状があるかないかを確かめなければなりません。

これらはもちろん神経学的診察法に含まれるもの

系統的に行なう神経学的診察法は、まず意識障害があるかないか、意識障害がなければ知能障害があるかないか、言語障害はどうか、診察に対して協力的かどうかというような精神機能をみます。

次に脳神経障害があるかないか、十二対の脳神経について順次検査を行ないます。

この中に脳圧充進症状があるかないかをみる眼底検査も含まれ、また瞳孔や眼球運動など眼科的検査があります。

また聴力や嗅覚あるいは嘸下力など、耳鼻咽喉科的検査も含まれます

運動系については、筋力や筋緊張などにつき、主として右と左の上下肢について比較検討します。

握力計を使うと所見を数字で記録できるので便利です。

協調運動の検査および起立、歩行の検査も行ないます。

知覚系については、表在知覚(触覚、痛覚、温度覚)と深部知覚(振動覚、位置覚)につきそれぞれ検査します。

反射については、深部反射と表在反射があり、深部反射というのは普通にいう腱反射のことです。

最も簡略化した頭痛の診察法

1 眼底検査

2 瞳孔検査

3 握力検査

4 膝蓋腱反射

5 感覚検査

6 項部硬直

1は脳圧一几進症状、2から5までの項目は脳病巣症状、6は髄膜刺激症状を判定するのに重要です。

もちろん、これだけの検査で十分ということはありません。

特にこれらの検査で異常があるときには系統的な神経学的診察法が必要になります。

また、ここには項目としてはあげませんでしたが、病歴をとるときに話し方の検査はできるし、診察室へはいってくる様子をみていれば、歩き方の検査も大ざっぱにはできるわけです。

1 眼底検査

眼底検査にて、うっ血乳頭が見られれば脳圧充進があるという目印になります。

ですからここでいう眼底検査は、脳圧充進があるかないかを判断するのが第一目的なのですが、一般に眼底検査という場合は、うっ血乳頭だけが目的ではありません。

網膜の血管の状態から、高血圧や動脈硬化の状態を調べたり、クモ膜下出血のときにみられる硝子体下出血があるかどうかを確かめるためのものです。

眼底検査というと、まだ眼科医のやるべきことで内科医の仕事とは考えていない人がいるかも知れませんが、新しい教育を受けた若い医師は、誰でも気軽に検査してくれるものと思います。

2 瞳孔検査

″つぶらなる君がひとみ″というと、ぱっちりとした目の美少女を想像しますが、一般に瞳孔は若い人の方が大きく、年をとると小さくなります。

瞳孔の検査はすべて左右の比較が重要です。

瞳孔の大きさは光の当たり具合で違いますが、普通、直射日光が当たらず、窓からIメートル位離れた室内での大きさを基準とし、直径二~四ミリメートルの場合を正常と考えます。

目をきれいに見せようとして、散瞳薬(瞳孔を大きくする薬)のはいった点眼薬を使う人がいるようですが、確かに目はきれいに見えますが、光に対する反応が悪くなり、物がぼやけて見えるようになることがありますから注意しましょう。

また眼科で眼底検査をするのに散瞳薬を用いますが、片側の目だけ散瞳薬を使った後で神経内科の診察をうけるときは、必ず眼科で散瞳薬を使ったことを話してください。

そうでないと、検査をする医師が一瞬アツと驚くことになります。

瞳孔の検査は、大きさと同時にまん丸かどうかを調べ、さらに眼に光をあてて光に対する反応を調べ、また近くのものを見させて調節反応を検査します。

特に眼に光を当てられるのは誰でも不愉快でしょうが、ちょっとの辛抱ですから眼をつぶったりしないように協力してほしいと思います。

瞳孔の検査でわかることは、動眼神経麻庫、交感神経麻庫、神経梅毒などです。

片側のまぶたが垂れ下がったまま、眼が開かなくなhソ、指でまぶたを持ち上げると瞳孔が大きく開きっぱなしになり、光を当てても全然小さくならず、また眼球は外側へ偏ったままほかの方向には動かない場合、動眼神経麻璋と考えられます。

クモ膜下出血でこうなることもありますし、脳出血で脳圧が高くなり、脳ヘル二アを起こしたときにこの所見が出ます。

脳ヘルニアの徴候というのは、いよいよ臨終が近づいたことを知らせる重要なサインです。

もちろん脳ヘルニアを起こしたときには頭痛を訴えることはなく、意識はなくなっています。

一方、眼が細くなり、瞳孔が小さくなって、眼がへこんで見えるのは交感神経麻捧で、ホルネル症候群といいます。

脳幹部または頚部交感神経の障害でみられます。

神経梅毒のときにみられる瞳孔の異常の中では、アーガイルーロバートソソ瞳孔というのが特徴的です。

典型的な場合には、瞳孔は縮小し、左右の大きさが異なり、形もまん丸でなくなります。

光を当て『ても瞳孔は縮小しませんが、近くを見ると瞳孔が縮小するという所見が最も特徴的です。

3 握力検査

手足の運動麻偉があるかどうかを検査するのには左右別に握力検査を行ないます。

右利きの人では右手の方が五キログラムぐらい強いというのが普通です。

特に利き腕をよく使う人では十キログラムぐらいの差のあることがあります。

しかし右利きの人で、宇を書いたり、はしゃはさみを使うような指先を使う細かな動作は右手を使っても、重い荷物を持つのは左手という場合は、左右同じか、あるいは左の方が三~五キログラムぐらい強いこともあります。

このようにいろいろな場合があるので、握力検査をすればすぐに数値は出てきますが、本当に運動麻庫があるかどうかの判定は慎重にしなければなりません。

一方、握力では明らかな異常値がでなくても、右の指先の動作がぎこちない場合、右足も筋力が低下しているかどうかを確かめ、ごく軽度の半身不随についても見落とさないようにする必要があります。

また歩きにくいと思ったり、他人にそう言われたことがあったら、そのことを診察のときに話してください。

4 膝蓋腱反射

あおむけに寝て膝を立て、脚を組んだ姿勢で検査をするのが一般的で、(yマーで膝の下を叩くと脚がポソとはね上がります。

この検査は一般には脚気があるかどうかを調べる検査として理解されているようで、膝の下を叩いたとき脚が動くと、「先生、脚気ではないんですね」と声をかける人がいます。

脚気は末梢神経障害ですから、膝蓋腱反射が消失するのですが、頭痛と関係のある頭蓋内の病気では中枢性麻庫を起こすので、たとえば脳出血で半身不随になっている人では、麻縁している方の膝蓋腱反射はかえって正常よりも強く反応して、迅速に、かつ大きくはね上がるのが原則なのです。

慎重に右と左とを比較して、確かに違うとなれば頭蓋内の病気を考えなければなりません。

腱反射の検査で大切なことは、検査をうける人が緊張してしまって、体がコチコチに硬くなっていてはいけないということです。

腱反射の検査を受けるときは、全身の力を抜いている状態でなければなりません。

5 感覚検査

感覚障害にも各種のものがあります。

痛い、熱い、冷たい、さわるなど皮膚で感ずるのが表在感覚で、そのほかに関節の動きや振動を感ずる深部感覚があります。

一般に表在感覚の検査には筆と針を用い、必要がある時に試験管に入れた冷水と温湯を用います。

深部感覚は音叉で振動覚を調べるほかに位置覚の検査をしますが、ロンベルグ検査でも位置覚が調べられます。

ロソベルグ検査は、両足をくっつけて立ち、まず安定することを確認し、安定したら目を閉じて、不安定になるかどうかをみるのです。

たとえば右側半身不随の人に、同側半身の全感覚障害を認める場合は、左大脳半球に病変があると考えられます。

温痛覚障害のみで、しかも顔と躯幹・上下肢とで反対側になるのは下部脳幹の障害と判定されます。

このように感覚障害の内容と分布により、病変部位がわかります。

6 項部硬直

項部硬直というのは、髄膜刺激症状があるときにみられる所見です。

これは文字通り項部が硬いということですが、筋収縮性頭痛のときのように、坐った位置で、首すじや肩を押して硬いかどうかを見るのではありません。

枕をはずしてあおむけに寝た位置を基準とし、検査する医師の手を頭の下に入れ、静かに頭を持ち上げます。

顎が胸につくぐらいの所まで、なんの抵抗もなく動けば項部硬直はなく、髄膜刺激症状なしと判断します(図9)。

軽く抵抗があると思うときは、頭を左右に動かしてみます。

左右に動かすときには抵抗がなく、前へまげるときに抵抗が強い場合は、髄膜刺激症状があると考えて、さらに精密に検査をする必要があります。

この検査をするときも、検査をうける人が自分で首に力を入れてしまっては正確な判断ができません。

十分に体の力を抜くことが大切です。

前にまげるのと、左右に動かすのと、たいして差がなく、同様に抵抗を感ずるときは、項部硬直はあっても髄膜刺激症状はないと考えられます。

頚椎に病気があったり、パーキソソソ症候群がある場合には、首はどちらの方向にも抵抗を示します。

以上の六項目に特別異常がなければ、まず頭蓋内に脳腫瘍や髄膜炎、あるいはクモ膜下出血などの病気はないだろうと考えられます。

頭痛に関して、まず異常があるかないか、第一段階のスクリーニングテストとしては、ここに述べた六項目の検査を行なえばまず十分だろうと考えます。

どれかの検査に少しでも異常が考えられる場合には、さらに詳しく系統的な神経学的検査が必要になりますが、その内容については、専門書にゆずりたいと思います。

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