頭痛外来の体験談はこちら!受診はこんな感じで進む

頭痛外来に行く…となると身構えてしまう人が多いのですが、診察の大半は「どこが痛むのか、どういう風に痛むのか」といった問診が中心になります。

電極みたいなのいっぱい頭に刺して電流流すみたいなことはしませんので安心してください(笑)

どういう風に診察が進むのかをご紹介しますので参考にしてみて下さいね^^

目次

  1. 頭痛外来体験談1 片頭痛に悩む患者Rさんとのやりとり
  2. 頭痛外来体験談2 25歳の若さで緊張型頭痛に!患者Qさんとのやりとり
  3. 頭痛外来体験談3 長年の緊張型頭痛に苦しんできた患者Nさんとのやりとり
  4. 頭痛外来体験談4 長年の緊張型頭痛に苦しんできた患者Nさんとのやりとり2
  5. 頭痛外来体験談5 人に理解されない緊張型頭痛を患う患者Oさんとのやりとり

頭痛外来体験談1 片頭痛に悩む患者Rさんとのやりとり

患者Rさん(三十八歳、女性) 「今朝から激しい頭痛がするのです。

吐き気もしますし、気分が悪くてしよりがありせん」

 

医師 「こんな頭痛は今度がはじめてですか?」

 

Rさん 「もう十年近く前から、一年に1~2回、激しい頭痛が起こっていたのですが、最近は二~三か月に一回程度になってきています。

いつも疲れたときに起こっていましたが、今度も、ちょうど昨日子どものPTAがあったのです」

 

医師 「子どもさんは何年生ですか」

 

Rさん 「昨日は上の子のPTAだったのですが、上が中学三年、下が小学六年で、二人とも男の子です。

二人とも来年の三月に受験ということで、神経をすり減らしています」

 

医師 「それは大変ですね。ところで、頭のどこが、どのように痛むのですか」

 

Rさん 「左側の頭半分が脈うつように痛み始め、しばらく続いた後は何だかガーンと痛い感じになります。

今もガーンと痛む感じです」

医師「痛みは今朝からずっと続いているのですね。

いつもはどの位の時間でおさまりますか」

 

Rさん 「いつもだいたい丸一日位続いて楽になりますが、ひどいときは二日続くこともありました」

 

医師 「その激しい頭痛がなくなれば、あとはすっきりしてしまうのですか」

 

Rさん 「はい、たいていの場合は頭痛がなくなれば気分がすっきりします。

まあ、ときには激しい頭痛がなくなった後、何となく重い感じがしたり、肩こりを感ずることがあります」

 

医師「今のお話で、今日のあなたの頭痛は片頭痛だと思います。

これは血管性頭痛なんですが、これと別に頭が重いと感ずるのは緊張型頭痛ですね。

とにかく検査をしてみましょう」

 

神経学的検査の結果、頭蓋内の器質的病変を示唆する異常所見はなく、Rさんの今回の頭痛は片頭痛と診断されました。

 

医師 「片頭痛は、一般に疲れたときに現われますが、そのほかに天気が悪くなる前とか、月経の前とかにも現われることが多いものですが、あなたの場合はいかがですか?」

 

Rさん 「私の場合も、おっしやる通りで、疲れたときに頭痛がすることは一番はっきりしていますが、生理の前に多いことも確かです。

この頃頭痛がやや頻繁になって、これがはっきりしたのですが、大体いつも生理の前に頭痛が現われています。

また天気が悪くなると頭痛がするといいますか、頭が痛くなると雨が降ってくるという傾向もあるように思います。

でも、まだ天気予報ができるような自信はありませんが、確かにそんな気がいたします」

 

医師 「病気の治療というのは、病気を起こす原因をなくすことが基本ですから、疲れないようにすることが大切です。

悪い条件が重ならないように注意することが大切で、生理の前には特に無理をしないようにするとか、また天気が悪くなりそうなときにも過労を避けるようにすることですね」

 

Rさん 「先生、片頭痛にアルコール類はよくないのでしょうか。

何か会合があって出かけたとき、会合でお酒をいただくこともありますし、帰ってから疲れをとるつもりでワインをのむことがありますが、どうも飲んだ翌朝に頭痛が起こるようです。

まあ疲れたときに飲むので、はっきりアルコールのせいともいえないのかも知れませんが……」

 

医師 「アルコールは血管拡張性に作用して、人によっては片頭痛を誘発することがあります。

チーズやチョコレートを食べると片頭痛を起こす人もいます。

このように、食べ物や飲み物でも片頭痛を起こしやすくするものがありますが、いずれにしろ、片頭痛を誘発する因子をよく知って、原因をなくすような生活をすることがまず大切なことだと思います」

 

Rさん 「先生、お薬も何かあるのでしょう?

今まで鎮痛剤をもらったことがありますが、頭痛が激しく、ズキンズキン痛むときには、のんでも吐いてしまうことが多かったのです。

ある程度落ち着いてきてからのむと効いたように思いましたが……」

 

医師「今までもらっておられたのは、普通の鎮痛剤のようですね。

片頭痛の特効薬というのは、酒石酸エルゴタミンという血管収縮剤です。

発作の前兆のときか、頭痛が始まってなるべく早い時期にこれをのめば、激しい頭痛を招かないですみます。

ところで、発作が始まる前に、頭痛がくるぞという何か前ぶれとなるような症状がありますか?

あなたのは普通型片頭痛なので、古典的片頭痛のように定型的な前兆はないかと思いますが……」

 

Rさん 「あまりはっきりこれだとはわからないのですが、疲れた後に何となくお腹がはったり、頭がのぼせるような感じがして体がだるくなり、頭痛が起こることが多いと思います」

 

医師 「もしそれがわかれば、そのときに特効薬の酒石酸エルゴタミンをのむと激しい頭痛が起こらないですむと思います。

最初に二錠のんで、もし一時間たっても楽にならなかったら、もう一錠追加してのんでみて下さい」

 

Rさん 「痛くなりそうなときか痛くなり出したときに飲めばよいのですね。

頭痛がするときにはよく吐き気がして吐くのですが、吐き気止めも一緒に出していただけますか」

 

医師 「わかりました。

吐き気止めも一緒に処方しておきます」

 

Rさん 「ところで先生、頭痛の予防薬はないのでしょうか。

多少過労になっても、これをのんでいれば頭痛が起こらないというお薬はありませんか?」

 

医師 「しばらく前まではあまり有効な予防薬はなかったのですが、やっと最近になって、予防薬といってもよい薬が開発されてきています。

しかし、何といっても過労その他悪い条件をなくすというのが基本方針ですから、それを無視して予防薬さえのめばよいというこ之にはなりませんよ。

生活上の注意を守った上で予防薬をのむことは結構だと思います。

それも処方しておきましょう。
また、あなたには緊張型頭痛もあるようですから、筋肉の緊張をゆるめる薬も差し上げましょう」

 

Rさん 「よろしくお願いいたします。

どうもありがとうございました」

頭痛外来体験談2 25歳の若さで緊張型頭痛に!患者Qさんとのやりとり

患者Qさん(二十五歳、女性)「何といったらいいのか、緊張しているとだんだんおかしくなっちゃう感じなんです。

たとえば、ある人と話していて、緊張してくると、急にけいれんを起こしちゃうというか、頭が痛くなるというか、首すじがつまるというか、何だかボーツとして、倒れそうになってしまうんです」

 

医師 「最近はずうっとその緊張が続いている状態なんですか。

それとも特定の人と話すときだけ緊張するのですか」

 

Qさん 「最近はずうっとです。

もう一年以上も精神的なストレスがありまして、ずうっと緊張のしっぱなしなんです。

そういえば、はじめのうちは特定の人と接触を持ったときだけ緊張していたのかも知れません。

最近では、もうこれ以上緊張は続けられないといった感じです」

 

医師 「では今日は緊張を解いて、ゆっくりお話することにしましょう。

ところで、頭痛はよくあるのですか」

 

Qさん 「はい、頭痛はしょっちゅうあるのですが、緊張してくるとひどくなり、頭をぐっとしめつけられるような感じになります。

また頭痛といってよいのでしょうか、頭が重いといった方がよいのでしょうか、ボー″とするような感じもよくあります」

 

医師 「首すじがつまったり、肩がこったりすることもあるのですね」

 

Qさん 「はい、首すじがつまってくるのが一番つらいといってもよいかと思います。

緊張すると、首すじがぐっとつまってくるのがよくわかります。

肩こりもひどく、今までにあんまさんにかかったり、鍼をしてもらったことがありますが、そのときは一時的にちょっとよくなったかなという程度で、すぐに元のもくあみでした」

医師 「吐き気がしたり、吐いたりしたことはありませんか」

 

Qさん 「今は吐き気はありません。でも一か月ほど前、とてもひどかったときは、毎日吐いて吐いて仕方がありませんでした」

 

医師 「で、食欲はいかがですか」

 

Qさん 「食欲は今は普通です。でも吐いていた頃は食欲がなく、お腹がはって仕方がありませんでした」

 

医師 「ふらふらしたり、めまいがするというような感じがしたことはありませんか」

 

Qさん 「めまいを感じたことはありません」

 

医師  「夜はよく眠れますか」

 

Qさん 「最近はまあまあ普通に眠れると思います。

一時眠れないことがありましたが」

 

医師 「手足がしびれるということはありませんか」

 

Qさん 「ありません」

 

医師 「体がだるいとか、足がだるいというようなことはありませんか」

 

Qさん 「もう全身がだるくて、どうしたらよいかわからないくらいです」

 

医師「ところで、最初に、緊張するとけいれんがくるといわれましたが、具体的にいうと、どこがどうなるのですか」

 

Qさん 「どこがどうということはよくわかりません。ただ、全身がつっぱるような、ピクピクするような、、いやな感じがするのです」

 

医師 「ほかに変わったことはありませんか」

 

Qさん 「おかしなことなんですが、家にいればそれほど緊張感はないのです。会社に行くと、とたんに緊張感が強くなり、首すじがつまってくるという感じです」

 

医師 「だいたいのお話はわかりました。では、まず診察をしましょう」

 

Qさんの診察の結果は次のような次第でした。

血圧一三八/九〇、体温三六度八分、内科的、神経学的ともに著明な変化はありませんが、頚筋、肩、および背中の筋肉が異常に硬く、肩は少々膨隆する状態になっており、筋肉を圧迫するととても痛がりました。

なかでも項部から後頭部の筋肉の硬結が強く、圧痛もかなり強く認められました。

 

医師 「脳圧充進症状その他、神経学的に異常はありませんから、頭に腫瘍のような何か悪い病気があるという心配はありません。

しかし首すじや肩の筋肉がとても強く緊張しているようですね。

診察の結果では緊張型頭痛と診断してよいと思います」

 

Qさん「それはどんな病気なんですか。

精神的ストレスからくる病気ですか」

 

医師 「この病名は、筋肉が異常に緊張するために頭痛がするという意味です。

筋肉の異常な緊張の原因としては、精神的ストレスは非常に重要なものです。

それに姿勢も大切ですよ。

ほら、あなたの背中は丸くなっていますよ」

 

Qさん 「そうなんです、私は姿勢が悪いのです。

それに緊張すると肩が持ち上がってくるのが自分でもわかるのです。

肩に力がはいってどうにもならないのです、会社では、机に向かって小さな宇を書くのが仕事ですから、どうしても姿勢が悪くなってしまうのです」

 

医師「まず、背すじをまっすぐに伸ばしましょう。
そして、お腹を大きくしたり小さくしたり、腹式深呼吸をしてみてください。
そうすると、自然に肩の力が抜けますよ」

 

Qさん 「こうですか、先生。
確かに疲れてくると自然に背すじを伸ばしたくなるものなんですね。
私も時々伸びをすることがあります」

 

医師「背すじを伸ばすといい気分でしょう? 姿勢のほかに寒さも筋肉を緊張させる因子です。
寒いときには体に力を入れるでしょう。
また重いオーバーを着ることも肩こりの原因になることがありますね」

 

Qさん 「先生、精神的ストレスが原因になるとおっしやいましたが、私の場合はこれが一番大きな
原因なのでしょうか?」

 

医師 「一般に、緊張型頭痛の素因としては体質や性格が関係しますが、直接の誘因としては精神的ストレスが一番主なものだと思います」

 

Qさん 「先生とお話しでいたら、何だか少し体が楽になってきたようなので、もう少しお話してもよいでしょうか。
私の精神的ストレスのことをきいていただきたいのです」

 

医師 「どうぞ話してください」

 

Qさん 「私が今の会社にはいったのは、一年半位前のことなんです。
はり切って、いろいろな仕事をやっていたのですが、一緒に仕事をしている人との間がどうもうまくいかなくなってしまったのです。
私が何をいっても相手は反対の意見をいうし、また逆に、相手のいうことに対して私も知らず知らずのうちに反対してしまっているのです。
考えてみれば、私も意地をはりすぎていたのだと思います。
最近ひとりになって考えると、そんなに意地をはっていてはいけないのだと、自分ではわかるようになったのですが、当人に面と向かうとどうしても駄目なんです」

 

医師 「なるほど、はっきりした原因があるのですね。
ところで、これからも、その人と同じ職場でつき合っていかなければならないのですか」

 

Qさん 「いいえ、今の職場は今月いっぱいでやめることにしたのです。
どうしても、これ以上会社へ行くことは苦痛で耐えられないと思ったのです。
それに、家にいればたいして緊張もないことがわかっているものですから、しばらくは家庭で静養しようと思っています」

 

医師ヽ「それは結構ですね。

そうすれば当面の原因はなくなりますね。

しかし、それはそれでよいとして、これからずうっと先のことまで考えるとまだ問題はありますよ。

家にいればそれですっかり精神的ストレスがなくなるというものでもありませんし、またずうっと家にいるのが一番よいことだというわけでもないでしょう。

人間は生きている限り、いろんな意味での対人関係がつきまといますし、精神的ストレスはなくならないものです。

ストレスは常にあり、ストレスによって筋緊張異常がくることに変わりはないとして、それをどう受け止め、どう対処するかが問題です。

今度悩んで会得したことにより、今後また同じような状態になったらどう切り抜けるか、処理の仕方を学ばれたことと思います。

意地をはりすぎたのが悪かったと思えば、これからは何でもかんでも意地をはり通すことのないよう、自分で調節する必要があるでしょう。

また、いつもよりちょっと首すじがはってきたなと思ったら、それ以上無理をしないように気をつけるようにするとか、睡眠不足にならないように気をつけるとかのやり方もあるでしょう」

 

Qさん 「確かに、家にいればすっかり解決するというものでないことは、自分でもわかります。

私は少々細かなことに神経を使いすぎるのでしょうか」

 

医師「そうですね。
あなた自身、ほかの人よりも細かなことに気を使いすぎる傾向があるかも知れません。

しかし誰でも神経は使うものですし、緊張型頭痛というのは、多かれ少なかれ、誰でも経験するものだといってよいと思うのです。

実際、毎日の生活で全然神経を使わないということは考えられないことで、仕事をすることに神経を使い、うまくいかないことに神経を使い、まわりの人に神経を使うというように、誰でもたえず神経の休まるときがないほどなんです。

ですからよい仕事をしようと努力する人は、ほとんどの人がこの種の頭痛を経験していると思います。

そしてみんなそれぞれ、自分に適した方法で処理しているのだと思いますよ。

あなたも会社をやめて家にいるのでしたら、この機会に、長期的な生活プランをたて、緊張型頭痛がひどくならないよう、調節するようにしてください」

 

Qさん 「よくわかったような気がしますが、何だかとてもむずかしいような気がします」

 

ストレスを避けることができなければ、ストレスの受け止め方を変えるのも一法です。

柳に風と受け流す方式も馬鹿になりません。

いろいろなストレスに対していちいち抵抗していたのでは、疲れ、傷つき、参ってしまうのがオチです。

各種のストレスによって起こる頭痛そのものもまた一つの大きなストレスですから、特に頭痛持ちの人にとっては、その頭痛にいかに対処するかが重要な問題です。

頭痛外来体験談3 長年の緊張型頭痛に苦しんできた患者Nさんとのやりとり

患者Nさん(三十六歳、男性) 「二~三年前から頭痛がするようになり、あちこちの病院で診てもらっていたのですが、少しもよくならず、最近では会社の仕事も思うようにできなくなってしまいました。

これではどうしようもありませんので、完全に治したいと思って病院で診断書を書いてもらい、会社を休んで自宅で休養したのですが、それでも少しもよくなりません。

診断書に記載された治療の所要日数の期限はもう切れたのですが、何とか治そうと思い、所要日数をさらに延長していただけるように頼んだのですが駄目でした。

というのは、尿や血液の検査、胸部のレントゲン写真など、いろいろな検査をしても何の異常もないし、原因になるような病気はないと思われるので、自分としてはもうこれ以上の診断書を書いても自信をもって治療はできず、専門医に診てもらった方がよいといわれたのです」

 

医師 「そうですか、で、頭のどこが痛いのですか」

 

Nさん 「首すじのところが詰まったような感じが一番ひどいのですが、そこから後頭部にかけて圧迫されるような感じなのです。

何だか、頭全体に何かがかぶさったような感じで、自分の頭ではないような気がします」

 

医師 「頭痛のほかに何か気になる症状はありませんか」

 

Nさん 「頭痛のために頭が思うように回転せず、仕事の能率があがらないことと、体がだるくて何をする気力もないので困っています。
それに肩こりもひどいのです」

 

医師 「今までどんな治療をしたのですか」

 

Nさん 「先生からいただいた薬をのんだ程度です。
ただし鎮痛剤をのむと食欲のなくなることがありましたので、あまりきちんとはのみませんでした」

 

Nさんのここまでの病歴では、緊張型頭痛が一番考えられます。

早速に検査をしたところ、眼底にうっ血乳頭はなく、項部硬直もなく、神経学的検査でも異常はなく、したがって頭蓋内の病気はないと考えられました。

 

医師 「頭痛は一日のうちで、いつが一番ひどく感じられますか」

 

Nさん 「夕方が一番ひどいように思いますが、よく眠れなかった日などは朝から肩がこり、頭が重くて、起き出すのもつらいことがあります」

 

医師 「会社を休んで、どんな療養をしましたか」

 

Nさん 「早くよくなりたいので、ふとんを敷いて寝ていました」

 

医師 「寝ていてもよくならなかったのですね。
寝るというのは体を横にするという意味ですか、それともぐっすり眠るという意味ですか」

 

Nさん 「体を横にしているということで、眠るわけではありません」

 

医師 「眠ってしまうのではなくて体を横にしていれば、自然にいろいろなことが頭に浮かんできて、かえって気になることが多くなるのではありませんか? 体を動かさないで、神経だけ使うという状態は、緊張型頭痛を悪くするものなのですよ」

 

Nさん 「お話の通りで、体を横にしていてもちっとも休んだ気がせず、いろんな考えごとが頭に浮かんできて、かえっていらいらすることが多かったように思います。
-先生、ではどうしたらよいのですか」

 

医師 「軽く体を動かした方がよいのです。
今まであまり運動をしておられないのでしたら、最初は軽い体操から始めたらよいでしょう」

 

Nさん 「とにかく今度は完全に治療して、すっかりよくなってから会社に出たいと思っていますので、入院させていただけますか」

 

医師 「緊張型頭痛の治療は、原則として外来での通院治療がよいと考えています。

入院するのは、入院しないとできない検査や注射などがある場合、または安静が必要であったり、あるいは食事療法が重要な場合です。
緊張型頭痛では、安静臥床よりも軽い柔軟体操が大切なのです。

入院すれば周囲に重病の人が寝ているのに、そこで一日に何同も体操をするというのはうまくないでしょう。

体操は病人がやるというよりも、健康な人が健康を維持するために行なうものなのです。

そういう意味では、緊張型頭痛は大変な病気だなどとむずかしく考えないで、疲れただけだと思い、疲れをとるために柔軟体操をするのだと考えてください。

ですから、なるべく入院しないで、家庭内で体操をしながら治していくつもりでやっていただいたらよいと思います」

 

Nさん 「でも、体操といわれても、そんな元気は全くなく、体がだるくてしようがないのです。
とても体操なんかできそうにありません。
どうすればいいでしょうか」

 

医師 「体操といっても、あなたが考えていらっしやるようにすぐに跳んだりはねたりするわけではありません。

最初は、うんと胸をはるようにして背すじを伸ばし、両手を上にあげたり、首や肩をぐるぐるまわすようにすればよいのです。

それから体を前後左右に大きく、ゆっくり曲げてみてください。

こういうような軽い柔軟体操を一日に五~六回もやればよいのですよ」

 

Nさん 「それでは温泉などに行くのは悪くありませんか」

 

医師 「結構です。
しかし温泉がよいからといって、何回もお湯にはいると疲れてしまうことがありますよ。
とにかくのんびりすることです。

温泉に行ったら、家庭や職場のことはすっかり忘れて、のんびりすることですよ。

そこで一日に何回もうんと伸びをするつもりで、さっきお話したような柔軟体操をやってください」

 

Nさん 「入院するよりも外来治療か温泉療法の方がよいとおっしやるのですね。
よくわかりました」

頭痛外来体験談4 長年の緊張型頭痛に苦しんできた患者Nさんとのやりとり2

患者Nさん(三十六歳、男性) 「先生、またやってきました。
実は……相変わらずなんです。
やっぱり首すじと肩と腕が痛くて、頭が童くてポーッとして、ときどきふらふらするんです」

 

医師 「柔軟体操はきちんとやっていますか」

 

Nさん 「先生にいわれたように、一日に五~六回はきちんとやっています。
そのほかに毎日夕方、犬を散歩に連れて出ます。
大体二〇分ぐらい歩きます」

 

医師 「柔軟体操を毎日五~六回やっていれば、いつかは効果が出るはずなんですがね。
本当に頭痛は少しも楽にならないのですか」

 

Nさん 「少しも楽にならないというと言いすぎですが、確かに前より楽にはなっています。

しかし、もう二か月間も柔軟体操を実行しているので、もっと効果が出てもよいのではないかと思うんですが、予期したほど楽にならないので、相変わらず調子が悪いといってしまったのです。

最初にくらべれば確かに楽になっています。

はじめは起きているのも辛いほど頭痛がしたのですが、今では頭が痛いという感じはほとんどなくなり、頭が重いという感じです。

しかし、首すじや肩はまだこっているというよりは痛いといった方がよい状態です」

 

医師 「毎日柔軟体操を五~六回やっているといわれましたが、一回には何分ぐらいやっていますか」

 

Nさん 「二~三分のことが多いですね」

 

医師 「普通の人では、一回二~三分、一日五~六回の柔軟体操をすれば、頭痛がよくなることはもちろんですが、そのほか肩こりも楽になることが多いのですがね。

あなたはお仕事の都合で特別筋肉を使うということでしたね」

 

Nさん 「ええ、魚の仕入れと料理ですが、毎朝三時に起きて河岸へ行き、まる四時間というものは、中腰で全身に力を入れっぱなしといってもよい状態です」

 

医師 「実際に筋肉に力を入れすぎたための筋肉痛の影響があるわけですね。

前にもお話したと思いますが、この症状は、筋肉を収縮させ緊張させる因子と、筋肉の緊張をゆるめ解放しようとする因子との競争により、緊張させる因子が強いときに現われるものなんです。

だから普通の人なら十分と思われる量の柔軟体操をやっても、それより緊張する因子が強ければあまり効果がないことになるわけです。
それでは、一回に二~三分というのを五分にしてみましょう。

毎回五分でなくてもよいのですが、少なくとも二~三回は五分にして様子をみてください。

それから大事なことは、四時間力を入れっぱなしだといわれましたが、できれば、二時間に一度、五~一〇分間の休憩時間をとり、そのときに柔軟体操をするのが効果的だと思います」

 

Nさん 「わかりました。一回五分ですね。

今までも、ときには五分間位やったことはあったのですが、これからは意識的に五分間やるようにつとめてみます」

頭痛外来体験談5 人に理解されない緊張型頭痛を患う患者Oさんとのやりとり

患者Oさん(六十三歳、女性) 「頭が痛くてしようがないんです。
前に診ていただいた先生からは、もうこれは治らないっていわれたんですけど、あんまり痛くてたまりませんので改めて診察をお願いいたしたいのですが……」

 

医師 「いつ頃から痛むんですか?」

 

Oさん 「もう10年以上も前からです。

それに腰と背中もずうっと痛かったんですが、一年ほど前から腰がひどく痛くなり、ほとんど歩けなくなってしまいましたので、I病院に入院いたしました。

七か月ほど入院していたのですが、ある日、先生が、もう歩けるようになったし、元気になってきたからぼっぼつ退院したらどうかといわれたのです。

腰の痛みは多少楽になりましたが、まだ頭痛は少しも楽になりませんので、頭痛を治してほしいといいましたら、あんたの頭痛は動脈硬化のためのものだから、もうなおらないよといわれたのです。

それでもう入院していても仕方がないと思い、退院したのですが、相変わらず頭が痛いのです。

それで先日、近所のA先生の診察をうけましたら、これは動脈硬化のせいではないと思うが、一度H先生の診察をうけたらどうかとすすめられましたので、先生に診ていただきたいと思って、今日出かけてまいりました」

 

医師 「これまでの経過はよくわかりました。ところで、いま一番痛む場所はどこですか」

 

Oさん 「特に右側の首すじから肩や背中にかけて重苦しい感じがします。

頭は全体が重く、右側がやや強く痛みます」

 

医師 「頭痛のほかに、吐き気とかめまい、しびれその他の症状はありませんか」

 

Oさん 「今はたいしたことはありませんが、ひどいときは、吐き気、めまい、しびれなど、いろいろな症状がありました」

 

医師 「今までに血圧が高いとか、コレステフ注意をうけたことはありませんか」

 

Oさん 「頭痛と腰痛のほかには、病気らしい病気はほとんどしたことがありません。

血圧も心電図も、I医院に入院しているときは全く異常がないといわれました。

血圧は、このあいだA先生のところで一五〇/九〇といわれたのが一番高いくらいです」

 

医師 「では高血圧は問題なしということですね。
ところで、夜はよく眠れますか」

 

Oさん 「それがあまりよく眠れる方ではないんです。

そういえば、よく眠れなかったときは特に頭痛がひどいように思います。

何も心配事はないんですが……」

 

医師 「では診察をしましょう」

 

型通りの内科的診察では異常はなく、神経学的検査でも、脳圧完進症状も髄膜刺激症状もなく、腱反射も左右ほぼ同じという所見で、Oさんには特に異常を認めませんでした。

しかし首すじから肩、背中の筋肉が硬結を形成しており、指で押すと、痛いけれどいい気持だということでした。

また変形性脊椎症の可能性も十分にあるので、頚椎と腰椎のレントゲン写真を撮りましたら、確かに頚椎にも腰椎にも変形性脊椎症の所見がありました。

念のために行なった脳波検査では異常を認めませんでした。

 

医師「今までの診察や検査の結果では、まず脳腫瘍とか、脳卒中とかいり病似はありません。

また血圧も高くないし、動脈硬化もうんと進んでいるという所見はありません。

脳波も正常で、脳動脈硬化症が進んでいるという証拠はないのです。

頚椎にも腰椎にも、変形性脊椎症があり、年齢の割には多少進んでいるかも知れませんが、これは年齢的変化によるものです。

I先生が、動脈硬化のせいで起こった頭痛だといわれたのは、年齢的影響が大きいという意味をいわれたのではないでしょうか。

あなたの頭痛は、緊張型頭痛だと思います。

これは動脈硬化で起こるのではなく、長年の生活上の疲れによって起こるものなのです。

この長年の疲れのことを、I先生は動脈硬化と表現されたのかも知れませんが、実際にはそんなに動脈硬化がひどいわけではありません。

また、緊張型頭痛は治らない頭痛ではなく、正しい治療法を実行すれば楽になるはずのものです」

 

Oさん 「じゃあ、これは治らないのではないんですね。
ああ、よかった。
それじゃ先生、どうしたらよくなるのですか」

 

医師 「まあ落ち着いてきいてください。

このままですぐによくなるというわけではありません。

まず、今日の話で、これは治らないものと諦めてしまってはいけないことがわかりましたね。

これは治らない頭痛だといって憂うつな気持でいることが最もよくないのです。

頭が痛い、腰が痛い、歩けないということで一日中動かずにいて、しかもこれはもう治らないのだと考えていると、実際によくなるチャンスは少なくなります。

まず、背すじを伸ばし、姿勢をよくしてみましょう。

ちょっとここでやってみてください。

そうです、できますね。

坐ったままで結構ですから、息を吸いながら軽く胸をはるようにして力を入れてみてください。

そして息を吐き出しながら、力をぬいて背中を丸くしてください。

そうです。

その調子で何回もくり返してください。

次に、両手を上に伸ばして、同じように息を吸いながら胸をそらせ、両手をおろして背中を丸くするようにしてみてください。

今度は立ち上がって同様の伸びをしてください。

少なくとも一日に五~六回は、胸をはるつもりでよい姿勢をとってほしいと思います。

頭痛や腰痛の状態にもよりますが、徐々に柔軟体操をとり入れていきたいと思います。

肩を上げたり下ろしたり、あるいは前後にまわしたり、体全体を、ゆっくりでよいから前後左右に大きく曲げてみて下さい。

とにかく今、体を動かせるところから動かして、柔軟体操をはじめるのが第一段階です。

体は動かしていればだんだん軽くなり、動きやすくなりますから、慣れてきたら体操の種類をふやしていきましょう。

しかし、体操がよいからといって、一度に二〇分も三〇分もやる必要はありません。

そんなにやると、またぐったり疲れて、動けなくなってしまうかも知れませんからね。

それよりも、一度には二~三分で結構ですから、一日に何回でもくり返してほしいのです。

たとえば、朝起きてすぐに伸びをし、午前十時、お昼、午後三時、夕方、寝る前とやれば、一日に六回できます。

まあ、少なくとも一日に六回は柔軟体操をやるように心がけてください」

 

Oさん 「毎日体操ですか、大変なようですね。何かお薬はないのですか」

 

医師「今日は薬ものんでいただくように処方浪を差し上げます。

これは緊張している筋肉をゆるめると同時に、余分な神経を使って疲れた体を治す薬です。

またこれは睡眠剤ではありませんが、これをのむと眠くなる人がよくいます。

緊張をゆるめると、疲れているときには眠くなるものですからね。

あなたも寝つきが悪いというお話でしたが、これをのんで眠くなったら、よく眠ってください。

よく眠れば、その分疲れがとれて早く回復すると思いますよ」

 

Oさん「鎮痛剤もはいっているんですか」

 

医師「腰痛のために、すでに何か鎮痛剤をのんでおられるかと思ったのですが、一応ほかの薬はみなやめて、こちらで差し上げるものだけにしていただくことにしましょう。

この中に鎮痛剤も入れておきます」

 

Oさん 「睡眠剤はのまない方がよいのですか」

 

医師 「毎食後のむ薬の影響で、多分夜はぐっすり眠っていただけると思いますから、睡眠剤は出しません。

一般に睡眠剤については、もし特別の条件でごく短期間だけ眠れない場合には、睡眠剤をのんでぐっすり眠るのが賢明ですが、若い頃から毎晩のように、あまり寝つきがよくないという場合には、睡眠剤なしで寝た方がよいと思います」

 

Oさん 「今日もらうお薬は、ずうっと長くのんでもよいお薬ですか」

 

医師「副作用のことを心配しておられるのかと思いますが、処方通りにのんでいる限り心配はありません。

今までお話したように、緊張型頭痛の治療に関する基本方針は、まず異常に緊張した筋肉をゆるめることです。

治療の中心は筋弛緩運動といいますか、柔軟体操を根気よく実行することです。

薬はその補助療法だと考えた方がよいのです。

ですから、筋肉の異常緊張が体操によって調節できる状態のときは薬はのまなくてもよいのです。

薬については、過労で調子が悪いときにのみ、調子がよくなったら、量を減らしたり、やめたりして経過をみていく予定です」

 

Oさん 「わかりました。柔軟体操の方が大切なんですね。

うまくできるかどうかわかりませんが、やればよくなるんですね。

もうなおらないと思っただけで頭が痛かったのですが、お話をうかがって、いくらか楽になったような気がします」

 

このように、それぞれの頭痛の症状に応じてそれぞれ診断と治療方針がきまるのですが、治療方針が決まったからといって、すぐによくなるとは限りません。

柔軟体操を一日六回以上、毎日実行することは予想以上にむずかしいし、また、一日に六回実行していても、過労による筋肉の異常緊張の程度を上まわる内容でなければ、やはり十分な効果は得られないのです。

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